第23章 地方大会当日朝・伝える
「怜ちゃん、これも食べなよ!あ、これも!こっちも!」
「な、渚くん!そ、そんなに山盛りにしないで下さいよ!」
「あら、こっちも美味しそうよ、はい!」
「もう!天方先生まで何やってるんですか・・・あ、これも美味しそう!はい、怜くん!」
「こ、こらー!!!」
一夜明けて・・・ここはホテルの中のレストラン。私達は今、バイキング形式の朝食をとっていた。
「あはは、みんな朝から元気だねー」
「はぁ・・・うるさいだけだ」
料理のところでワイワイと賑やかな渚先輩達を見て、真琴先輩が笑い、遙先輩が小さくため息をついている。今日が本番だということが信じられないくらい、みんないつも通りだった。
「ふふ・・・あ、私もおかわりしてきます!」
お皿を手に、私は立ち上がろうとする。昨日の夜、渚先輩と怜先輩に話を聞いてもらって、私は心を決めた。宗介さんの、みんなの気持ちに応えよう、って。
自分のやるべきことが決まったからか、今朝は久しぶりにすっきりと目覚めることができた。少しずつ、食欲も回復している気がする。
今日は力一杯応援できるように、ちゃんと食べよう、そう思って立ち上がった私を真琴先輩が呼び止めた。
「ヒカリちゃん」
「はい?」
「なんか・・・ちょっと元気になってきたね。ずっと心配してたから・・・よかった」
「真琴先輩・・・・・・遙先輩も・・・」
にっこりと真琴先輩が笑ってくれる。その横で小さくだけど、遙先輩も笑っていた。
何も言わないけど、ずっと心配してくれてたんだなあ・・・なんてジンときてしまう。だけど、だからこそきちんと笑顔で返したい。私も真琴先輩に負けないぐらいに笑顔で答える。
「遙先輩も、真琴先輩もありがとうございます!・・・あの!私、今日のリレー、すっごい見ますから!だから頑張ってください!」
いきなり何をって感じだし、それに『すっごい見る』ってどういうことだろう、相変わらずボキャブラリーないなあ、なんて思ったけど、どうしてもこれだけは伝えたかった。
二人は最初きょとんとした顔をしていたけど、すぐにまた笑って答えてくれた。
「・・・ああ、そのつもりだ」
「うん!ヒカリちゃんも応援よろしくね」
「はい!・・・あ!も、もちろんリレーだけじゃなくって個人の方も頑張ってほしいです!」
「あはは、大丈夫、わかってるよ」
