第22章 地方大会前夜・決意
「・・・ま、もちろん僕達のリレーもちゃんと見ててほしいけどね!」
「は、はい!それはもちろんです!」
いつもの明るい調子に戻った渚先輩が少しおどけた感じに言う。
すると、さっきまで無言でいた怜先輩がここにきて口を開いた。
「ヒカリさん」
「はい」
「大変不本意ではありますが・・・明日のリレー、バッタの時だけは、僕ではなく山崎さんに注目することを許します・・・・・・ちゃんと見ててあげてくださいね、ヒカリさん」
「怜先輩・・・」
怜先輩は、困ってるような少し泣きそうなそんな表情をしている。胸が締め付けられて、ちょっとだけ苦しくなった。
「・・・怜ちゃんのことはねーえ!横目でチラッと見とけばいいよ!こう、チラッて!・・・チラッ!」
「こ、こら、渚くん!なんてこと言ってるんですか、まったく・・・」
「ぷっ!あははは!」
渚先輩の陽気な声が私達の間に割って入ってきた。渚先輩の仕草がおかしいのと、怜先輩がいつもの調子に戻ったのが嬉しくて、やっと私は心から笑うことができた。
「・・・ふふ、やっと笑ってくれたね、ヒカリちゃん」
「ええ、いい笑顔です」
渚先輩と怜先輩が嬉しそうに、私の顔を見てくれていた。
私・・・応えたい。宗介さんだけじゃなくって、先輩達の優しさにもちゃんと応えたい。
「私・・・明日はちゃんと見ます。宗介さん達のリレーを。もちろん、岩鳶のみんな・・・真琴先輩、渚先輩、怜先輩、遙先輩がつなぐリレーもきちんと見ますから・・・」
リレーを見たら、何かがわかるのか・・・それはまだ私にはわからない。でも、ただ気持ちに応えたい、その決意を込めてはっきりとそう言う。
すると、渚先輩と怜先輩が嬉しそうに笑ってくれて、私もおんなじように嬉しくなった。