第22章 地方大会前夜・決意
「・・・怜ちゃん」
「はい・・・確かあちらに小さな談話スペースのようなものがあったはず」
やっぱり私の作り笑顔は二人には通用しなかったようだ。渚先輩と怜先輩は目を見合わせて、何か合図を送り合っている。
「よーし!じゃあそこでお話しよう!」
「い、いえ、本当に大丈夫ですから!・・・ふわっ!な、渚先輩?!」
渚先輩がぐいぐいと私の背中を押す。
「まあまあ、そう遠慮なさらずに」
「そうそう!」
「い、いや、遠慮してるわけじゃ・・・ちょ、ちょっと!ひゃああ!」
私の言葉をまるで聞いてくれなくて、渚先輩は尚も私の背中を押し続ける。いくら渚先輩が小柄とはいっても、その力に抗えるはずもなくて、私は怜先輩の言っていた談話スペースにまで連れてこられてしまった。
「さあ、座って座って。怜ちゃんはそっちね」
「はい!さ、ヒカリさんもどうぞ」
「・・・は、はい」
少し長めのソファーに3人で座る。右側には渚先輩、左側には怜先輩。がっちりと挟まれてしまって、これはもう逃げようがない。
・・・もうこれは心を決めるしかなさそうだ。
「・・・それで、どうしたの?ヒカリちゃん」
渚先輩の声が今までのトーンとは変わり、少し低くなった。
それをきっかけに、私はさっきの出来事を話すことにした。
「あ、あの・・・えーっと、遙先輩に聞いたんですけど、その、お二人は・・・」
決めた、と言ってもやっぱりいきなり先輩方に恋の話なんて、恥ずかしくて仕方がない。
「わ、私が・・・あの・・・そ、宗介さんのこと・・・その・・・す、す「ああ、ヒカリちゃんが宗ちゃんのことを好きで、フラれちゃったってこと?もちろん知ってるよ!」
「「わああああ!!!」」
もじもじしている私の言葉を遮って、渚先輩がきっぱりすっぱり言い切った。恥ずかしさに声を上げると、なぜか怜先輩の声と被った。
「ちょっと!なんで怜ちゃんまで照れてるのさ」
「い、いや・・・渚くんがデリカシーなさすぎなんですよ・・・」
怜先輩は頬を赤くして、取り繕うように眼鏡の位置を直したりしている。少し可愛いかもしれない。