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いちご☆恋模様

第22章 地方大会前夜・決意


どれぐらいその場に立ち尽くしていただろうか。
ワイワイと、恐らく食事から帰ってきた宿泊客達がやって来て、私はやっと我に返った。

のろのろとエレベーターまで移動し、乗り込む。


エレベーターが目的階に着くまで、じっと考える。

・・・どういうことなんだろう。さっきの宗介さんの言葉。
私の告白が迷惑じゃなかったって言ってた。それにずっと忘れたことはなかった、って。明日のリレーを見ててくれって・・・リレーを見れば、何かがわかるってこと?肩を怪我してるのに泳ぎ続ける意味、とか、さっきの言葉の意味も全部わかるってこと?


ボーッと考えていたら、いつの間にか目的階に着いていて、私は慌ててエレベーターを降りた。


廊下を歩きながらも、さっきの宗介さんの言葉がぐるぐると頭の中を巡る。
どうしたらいいんだろう。どうしたら・・・




「あ!ヒカリちゃん!」
「お買い物ですか?」

正面から渚先輩と怜先輩が連れ立って歩いて来ていた。そんなことにも気付けないほど、自分の考えに入り込んでしまっていた。そして、ここにきてやっと、宗介さんにコーラを渡した後、自分の分の飲み物を買い直すのを忘れていたことに気づく。

「えっと・・・お二人はどちらへ?」
「僕達はね、ハルちゃんとマコちゃんの部屋に遊びに行こうかなーって。ね?怜ちゃん」
「僕は迷惑だからやめようって言ったんですけどね」
「えぇ〜〜、うっそだぁ!怜ちゃんが行こうって最初に言い出したんじゃん!」
「こ、こら、渚くん!!」

二人のやり取りを見て、少し笑う。だけど、心はまださっきの出来事にとらわれたままだ。

「・・・ヒカリちゃん、どうかした?」
「へ?」

渚先輩が急に近付いてきて、私の顔を覗き込む。距離の近さと、私の心を見透かすような渚先輩の瞳にドキッとする。

「なんか・・・泣きそうな顔してる気がする・・・」
「や、そ、そんなことないですよ!元気ですよ!さっきたくさん夕飯食べたし!」

無理矢理に笑顔を作る。我ながら嫌になる。落ち込んでるのも、浮かれてるのも、何もかも私は顔に出過ぎてる。
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