第3章 息もできないぐらいに
そうこうしているうちに鮫柄学園についてしまった。
着替えを済ませて、プールの方へと向かう。なるべく先輩方の後ろに隠れるようにして少しだけ顔を出して様子をうかがってみる。
(あれ?・・・いない・・・)
山崎宗介はどうやらまだ来ていないみたいだ。この前は一番乗りだったから今日ももう来てると思ったのに。
しばらくの間、鮫柄の部員が来るたびにビクビクしていた私だったけど、結局山崎宗介が来ないまま練習が始まってしまった。
(今日はお休みなのかな・・・)
なんだかホッとしたような、拍子抜けのような・・・いやいや、拍子抜けなんてしてない!できれば会いたくないんだから、あんなやつ・・・
その後は気を取り直して、江先輩の手伝いをしたり、練習を見学したりした。
そして、1時間ぐらいして休憩になった。
「あ、私、飲み物忘れちゃったので、ちょっととってきますね」
いけないいけない。先輩方の飲み物はちゃんと用意してたのに、うっかりして自分の分をもってくるのを忘れてしまっていた。江先輩に一声かけて、私は今度はプールサイドをゆっくりと歩いて行く。