第21章 小さなお願い
「ここかぁ・・・結構大きいんだな」
翌日の昼下がり、私は江先輩に言われたスポーツ用品店に来ていた。かなり広いお店で迷子になってもおかしくないぐらいだった。
ここに来る前にも自分の買い物をいくつかしたおかげか、最近では珍しく私の足取りは軽かった。
「プロテイン、プロテイン・・・あ、あった・・・げ・・・」
キョロキョロとお店の中を見渡して、お目当ての物をやっと見つけた・・・と思った瞬間、私はうんざりとした。だって・・・
「なんで、こう高い所におくかなあ・・・っっ!・・・」
プロテインの袋は棚の一番上にあった。背伸びしてももちろん届くはずがない。・・・うん、でもきっとこれは普通だ。だってあんな高い所、他の人だって届くはずがない。そう、こういう時は踏み台に載れば・・・
「え・・・ちょ、ちょっとこの台、低いんですけど・・・!!」
近くにあった台を持ってきて載ってみる。だけど、届かない。そこから更に目一杯背伸びしても届かない。
・・・わかってる。台が低いんじゃなくって、私の背が低いんだ。
「・・・もう・・・ちょっと・・・うぅぅ〜〜!!」
でも認めたくなくて、店員さんにお願いするのも恥ずかしくって、私は頑張って手を伸ばし続けた。伸ばして伸ばして、なんだかもう腕とか脇とか足とかいろんなとこがつりそうだったけど、それでも頑張って頑張って・・・