第4章 罪に気付いて
まずは情報、次に作戦、最後に実行。
跡部兄妹がとる行動はシンプルだった。
「いいのか?」
「いいよ」
優しい性格の妹を気遣う兄の言葉に、当の妹は非常にそっけない答えを返した。
これからやることは悪いこと。人を貶め傷付けること。
知っている。理解している。でも。
「もう我慢なんてしてあげない。死ぬわけでもこれから一生苦しむわけでもない、たった一回嫌な思いをするだけでしょう」
「……」
「それに私は、あの人を貶めたことをきっと一生覚えてるし、後悔はしないけど罪悪感に苛まれ続けるんだから」
だから許されるとは思わない。けれど、覚悟は決めたから。
大っ嫌いなあの女。
その可愛らしい顔が屈辱に歪む様、じっくり拝ませてもらいましょう。
――――― 加護対象:夏川莉香 ―――――
発動条件:夏川莉香に悪感情を抱いていないこと
発動内容:接触するたびに好感を抱いていく
解除条件:夏川莉香に強い悪感情を抱くこと
(ある天使の書類より一部抜粋)