第10章 10
車を運転中
ふとミラー越しに由梨を見ると
ボーっと外を眺めながら
涙がつたうのがみえる
元々一度泣き始めたら中々涙が止まらないタイプなんだろうけど
多分今は泣いてることも気づいてない感じかな
マンションのエレベーターでシーンとなる
「ねぇ。由梨」
「はい」
「…こんなこと言うのも変なんだけど」
手をギュッと握る
「今日、止められる自信ない。優しくするから。何度もになるかも。ごめんね」
「へっ?!……あの!その、」
真っ赤になって目を見開いて見上げる由梨に、フフッ。と笑う
そしてそのまま部屋の中に入り
ベッドに連れて行って優しく押し倒す
「自分に怒ってたんだけど」
「へ?」
「ちょっと由梨にも怒ってる……こんな気持ちあんまりないんだけどね?」
自分の感情の変化に最初はびっくりしたけど
今はちょっと面白くなっちゃってる
「由梨?もう一度[再婚]とか言い出したら
秋ちゃんに言うからね
ブルーの下着の話とか
泥酔して直ぐ脱がすし脱いじゃうとか
言われたくないこと
たーくさんあるよね?」
ニヤニヤが止まらない
由梨ごめんね
俺
怒るといつもの何倍もこっちにシフトチェンジしちゃうみたい
「だ!ダメ!!絶対ダメです!」
「そう?そしたらわかるよね?」
「はい。絶対言いません![再婚]なんて!」
「…クフフっ。ねぇわざとじゃないってわかってるけど」
今言いませんって言った側から出て来たその単語
吹き出さない方が可笑しい
「へっ?あれ?……またやっちゃってますか?」
慌てる由梨が本当に愛おしくて
「いーよ、もう。由梨に怒るのは難しいの」
電気を少し暗めにして
「ねぇ、由梨?
由梨の告白を素直に喜べないようにした責任
ちゃんと取ってね?」