第1章 1
和さんと身体を重ねるのはもう数えるには両手に入りきらないほどで。
それでも私達は最初のスタイルを崩さないでいた。
常に和さんが優しくリードしてくれて。
それに応えることしか出来ない私
和さんはセックス中は恐ろしく優しくて。
たまに意地悪な顔をするけど直ぐに様子を伺うようなちょっと心配そうな顔をする。
多分それはヒロトとの出来事を和さんはセックスでの暴力だったとわかっていて。
それ以上は踏み込んではいけないと思っているみたい。
でも。
私も和さんにもっと応えてあげたい。
変態かもしれないけど、もっと気持ち良くなってもらいたい。
そんな事を思ってそっと和さんのに手を這わせるとピクッと身体が反応して動きが止まる和さん。
ゆっくりと上下に摩ると、ちょっと待って。と言うので恥ずかしかったけど和さんを見ると困ったような顔をしていた。
「由梨?無理しないで。触られなくても俺は充分気持ち良いよ?」
これはきっと気を使って言ってくれている
だから今度は私がフッ。と笑ってみせた
「無理してないです。私も。和さんをもっと気持ち良くしてあげたい」
そう言って止まっていた手を動かすと、はぁ。と気持ちよさそうにしているので安心した。
そして暫くしてしっかりとゴムを付けて充てがう和さんは何時ものようにゆっくりと刺激の少なくなるように入ってきた。
それでもこの最初の圧迫感はいつも駄目で。
直ぐにイッてしまう。
多分これは和さんが入れる前に何度もイかせる所為。
はぁ。とため息をつき優しく動かす時には私は喘ぎ声を抑えるのに必死で和さんの手をぎゅっと握ることしかできなかった
「はい。」
行為後、和さんは一服したいと言うのでベランダでタバコを吸っていた。
少し冷えるので暖かい飲み物を渡すと、ありがと。と素直に受け取り飲んでくれた。
隣に並んで私も一緒に飲みながら外を眺める。
ここに引っ越して初めてベランダに出た時は夜景が綺麗で本当にびっくりした。
今は少し慣れ、ボーッと眺めていると安心する。
「由梨さ。ちょっと相談があんだけど聞いてくれる?」
静寂な時間を最初に破ってきたのは和さんだった