第7章 7
「では!和さん行ってきます!」
「はいはい。…本当に忘れ物ない?」
貴女、オフ中は忘れ物大将だから心配。と付け加えられる
空さんはドラマ期間を終えた後、メディア向けの仕事を一旦休憩して今はアルバム制作とラジオのみに力を入れている為少しお休みをいただいた
そのタイミングで和さんのお母さんとお姉さんとプチ旅行に行こうとしていた
「やっぱり忘れてました」
スマホの充電器を忘れてたのを慌てて鞄に突っ込む
「…まぁ、それくらいは現地で何とでもなるでしょ。とりあえず現金とスマホさえあれば後はあの2人がどうにかしてくれるから」
慌てる私の頭を優しく撫でる手をさっと取り両手できゅっと握る
「はい。和さんはたいちゃんをよろしくです」
足元で転がって未だ夢の中のたいちゃんを見てそう言うと、フフッ。と笑う和さん
「…全く。昨日いつ来たのこの人」
「夜中の2時?くらいです。ちょうどお水飲もうと起きたらへべれけのサラリーマンみたいにお土産持って帰ってきました」
もうしょっ中うちにくるたいちゃんは合鍵を和さんから貰い無事に二宮家の一員に昇格したと喜んでいた
「それで謎の袋があったのね。…とりあえず気をつけてね」
「はい!行ってきます」
背伸びをしてチュッといつものようにキスすると
「行ってらっしゃーい」
寝ぼけながらムクっと起き上がるたいちゃん
「え、見てた?」
思わず恥ずかしくなる
「うーん。見てたけど。んな恥ずかしがんなくても。もう見慣れたし」
「へっ?!」
びっくりすると吹き出す和さん
「由梨、この人どんだけうちにいると思ってんの。全部見られてますから」
顔が熱くなるのがわかる
「うぅ。全然バレてないと思ってました」
顔を隠したいのに両手は何故か和さんに塞がれてるから和さんの胸に顔を埋めて隠すしかなくて
「そーんなのしょっ中でしょ。俺にとっては理想の夫婦なんだからさ。そのままで居てね」
もっかい寝まーす。と言ってまた丸くなるたいちゃん
「だってさ。もう見せびらかせちゃう?」
抱きしめながらそんな事をいう和さんにまた、うぅ。と声にならない声をあげると、フフフッ。と笑って頭を撫でられた