第7章 7
帰り道
タクシー乗り場で待っていると、ふとおしゃれな花屋を見つけた
「和さん。あそこ寄ってからでもいいですか?」
指差した先を見て、ん。いいよ。と二つ返事をしてくれた
「何がいいかなー」
「今向日葵だっけ?確か俺が貰ってきたやつ」
和さんの職業柄、よくお花をもらうのでそこから少し[あの子]にお裾分けしてくれる
そして花屋に寄りたいと言っただけで何のためかすぐに勘付いてくれた和さんにきゅんと胸が高まった
「そう。向日葵です。大きな向日葵でした」
「確かに。立派だったな。次はどうしよっか」
2人で色々見ていたら店員さんが、何かお作りしましょうか。と声をかけてきた
どうしよう
1人だったら子供のお供えにと伝えれるけど
今は和さんがいて
「えっと……あの」
思わず口篭ってしまう
「……フフッ。すみません。良かったら小さな花瓶サイズの物をいいですか?大切な人のお供えなんです。できれば可愛い感じで」
そっと私の手をとり握ってくれる和さん
ドキドキが止まらなくて
泣きそうになるのをぐっと我慢した
店員さんはにこやかに対応して下さり要望通りの小さくて可愛らしい花束を作ってくれた
会計を済ませて素早くタクシーに乗り込む
「和さん。………ありがとう」
「なにが?」
その顔は本当になんでかわかってなくて
「大切にしてくれて」
私だけじゃなくて
私の中にいた小さな命も大切にしてくれて
和さんの手にそっと手を重ねると
やっぱり優しく握り返してくれて
何も言わない和さんが
本当に暖かくて
どうしても愛が溢れそうになってしまう
「私……こんなに幸せでいいんでしょうか」
フフッ。と和さんに笑われる
「いーのよ。そう感じれる時は幸せでいてよ。由梨が笑ってる方が二宮家も安泰なんだから」
「和さんがいてくれるからですよ?」
「……今日は本当にそういう日なの?だんだん照れるじゃない」
ちょっとふざけていう和さん
お互いに、フフッ。と笑って
あー。幸せだな。って
心から思う