第7章 7
「ねね、由梨。まだ何も飲んでないでしょ?あっちで一緒に選ぼうよ」
バーテンダーの方を指差しそう言われたので和さんをチラッと見た
「和さんは何飲まれますか?」
「なんでもいーよ。選んでくれる?」
わかりました。と返事をしてあいとバーテンダーのところへ向かい適当に頼んだ
「ねー。由梨はいつまでその口調なの。旦那様に」
「へ?」
バーテンダーがお酒を作ってる間にそんな事を聞かれて
「二宮さんって、……実は亭主関白?」
心配そうに眉間に皺を寄せるあい
「え?…違うよ?」
和さんには亭主関白のての字も見当たらないくらい
「だって、由梨。…私」
きっとヒロトの事で警戒してるのかな
「大丈夫だよ?…和さんはすごく良くしてくれてるの。いつも優しくて」
「そしたらなんで?…だって別に私達とは普通に会話してるし、その……あの人とだってそんなかしこまってなかったよ?」
「それは……」
自分でもよくわからない
けど和さんにはこの話し方が一番しっくりくるし和さん自体も嫌がってる様子はない
「私ね、前回の反省もあって。もう後悔したくないの!!由梨?…もし悩みとかあったら絶対に私に言って!1人で抱え込まないで」
「ありがとう。あい」
あいはヒロトとの事で疎遠になってしまったことを言っているのか、手をギュッと握られる
「旦那に聞いたのよ。でも二宮さんって仕事中はスタッフにもみんなにすごく優しいって。…でも前に飲みに行った時もそうだけど。由梨がずっと敬語で接してるし。家では三つ指ついちゃってんじゃないかなとか」
「クフフっ。三つ指って」
「へっ?!二宮さん!!」
びっくりしたあいが振り返ると
どうやら帰りが遅いからって2人が見にきたみたいで
「どうかな。そうゆうのって自分じゃ自覚無い人多いよね」
「こら、あい!二宮さんがそんな人なわけないだろ!」
旦那さんがあいを叱るがそれを止める和さん
「いーのよ。あいちゃんはゆりの心配してくれてんだから。…まぁ、そうね。今俺が由梨にどう?って聞いてもきっと強制に聞こえちゃうからね」
ニヤッと笑いながら私を見つめる和さん