第4章 4
「あら、こっちこないの?」
背後から抱きしめたくてそう言うと
「えっ………だって、その」
自分自身を両腕でギュッと抱きしめる様にする由梨
多分背中を向けたくないのだろう
「フフッ。……わかった。そしたらそのままおいで?」
向かい合わせになる様に膝の上にのせて首筋にキスする
「んっ」
そしてさわさわと背中を撫でる
由梨の背中は数年前に比べて傷の凹凸は消え掛かっているがやっぱり目視するとその跡は無数に残っていて
どうしても見られたくないのだろう
そんな事で嫌うわけないのにね
「和さん……ありがとう」
突然お礼を言われ何かしたっけと考えるが思い出される事と言えば永遠に由梨をいじり倒してる自分しかいなくて
「俺、なにかしたっけ?」
「フフッ。……さっきの告白。返事してなかったなって」
はじめて言われました、好きって。と言われて
あー
俺も言ってなかったかって思い出す
「俺たちそんな感じじゃなかったしね」
今までの事を思い返しながらそう言うと
「そうですね。もう結婚して何年も経ってるのに…でも、嬉しいものですね。好きって言われるの」
嬉しそうにキラキラ笑う由梨はなんかいつもと違って
思わず吸い込まれてキスする
「ふっ、、、んっ…あ」
「由梨の声響いてやらしー」
わざと言うと赤くなる由梨
「んっ…恥ずかしい」
「フフッ。大丈夫よ。ここではしないから」
ゴムないしね?と笑って見せると顔が見られない様にかギュッと抱きついてくる
「でも、したくなっちゃいます。こんなキスされたら」
あー
ほんとに上手だよね
喜ばせるの
気付いてないのは癪だけど