第2章 2
「ちょっとー。二宮夫婦イチャイチャしてんじゃないわよ。掘るわよ!」
いつの間にか近くに戻って来ていた楓ちゃんが狂気めいた事を言うので、怖っ!と由梨を盾にする
それに何故かクスクス笑う由梨
「楓さんと和さんなんて。想像つかないです。輝さんならなんとなくわかるけど」
そう言って先を見る由梨
いやいや。問題外だから。
そんな事は御構い無しに楓ちゃんは喜んでいる。
恐らく輝の事を結構気に入ってるんだと思う。この人
輝の元まで行くとペコッと何時ものように礼儀正しく頭を下げる由梨
「輝さん。今日はありがとうございます。楓さんも。」
いえいえ。とニッコリ爽やかスマイルする輝
なーに言ってんのよ。と笑う楓さんは由梨の頬をちょっとフニフニ触った
そして急に厳しい顔をして輝の隣にいたヒロトに向かって行き下顎をぐいっと掴む
「えっ!楓さん!」
そう言ってやめさせようとする由梨の肩に軽く手を乗せ制止した。
これはもう誰にも止められないから
「あんたね?ヒロトは。」
「…はい。」
「言いたい事はね。ほんと言うと沢山あるのよ。でも。今はやめとくわ。1つだけ言わせて。今日由梨が来るまでにどんな思いしたか。ちゃんと考えてあげなさい。」
そして下顎をパッと離しふんっとする楓ちゃん
それを見て申し訳ないような、ちょっと嬉しそうな顔をする由梨
そんな由梨に向き直るヒロト
「久しぶり。元気だった?」
「…うん。ヒロトも。顔色良さそうでよかった」
控えめにそう言う由梨は本当に心配していたみたいだ
「あの時が許されるとは思ってない。でも、ちゃんと向き直りたいんだ。そのチャンスをくれてありがとう」
由梨に頭を下げるヒロト
どうしようとチラッと俺を見る由梨
「ヒロトくん?だよね。まぁ、顔あげてよ。由梨困ってるし」
そう言うと顔を上げて複雑そうに俺を見るヒロト
そこでチラッと楓ちゃんを見て目で合図すると楓ちゃんは察したのか由梨と輝を連れて先に手続きに向かっていった