第2章 2
「というかね。もう決めちゃったよ。俺と、輝と、楓ちゃんと、由梨と、それからヒロト?だっけ。その人」
驚いて目を見開く由梨は数年前にプロポーズした時と同じ顔をしていて。
思わず吹き出す
「楓ちゃんと輝がカップル設定ですから。俺らは付き添い」
吹き出しながらも補足を入れると、えっと。その。とワタワタしはじめる
「色々聞きたいことがあり過ぎて。…え、でも。……ほんとに?、、ほんとに行っても良いんですか?」
現状を噛み締めながら言う由梨はちょっと泣きそうで。
「いつも言ってるじゃない。由梨はわかりやす過ぎなのよ。、俺が気づかないとでも思った?由梨の本心」
そう言うとポロポロと涙を流すのでティッシュを数枚渡す
「和さん……ありがとう。、、好きです」
ビールを飲もうとした手が思わず止まった
今なんて言った?この人。
出会って何年も経ってる中で初めて言われた言葉は、こんなにもドギマギさせる言葉だったっけか
「フフッ。…由梨。俺の事好きだったんだ」
自分の気持ちをバレないようにふざけてそう言うと、知ってたくせに。と睨みきれてない目で俺を見るので、そーねー。と流した
それからしばらくして。
午前中だけ空きの日があり皆んなの調整がついてその日が来た
現地集合なので俺の運転で向かう。
車内は音楽は流してるものの由梨は朝から静かで顔が強張っている。
チラッとミラー越しに見ると棚から取ってきた母子手帳や色々を大切そうに持っている
「緊張してる?」
そう聞くとピクッと反応して、はい。と小さく答える
それは水子供養に対してなのか。
彼との対面についてなかのか。
多分どっちもなんだろうけど。
「由梨?俺は嬉しいよ?…一緒に行けるんだって。その子は俺との子じゃないけどさ。ずっと見てきたから。由梨が頑張ってきた姿も、大切にしてるところも。」
だから。俺も大切にしたいって思ったんだよ。と続けるとすすっと鼻をすする音が聞こえた。
「和さん。…朝から泣かさないで下さいよ」
そんな事を言う由梨はさっきの強張った顔とは違っていてすごく嬉しそうにしていた。