第2章 2
あっ。と言い気づいた由梨は、ありがとうございます。とフフッと笑う
こうゆうとこが由梨の面白いところで。
仕事中はテキパキとこなすのにプライベートになると何処か抜け落ちてる
所謂おっちょこちょいってやつで。
買い物すれば買いすぎて歩いて帰れなくなるし
この前のキャリーケースだってそう。
どんな転け方したらあんな壊れ方するのよ
もはや見れなかったことが悔しくなるくらいで
んで、よくやるのが休みの日の忘れ物
仕事の日は忘れ物なんてしたことないのに休みやプライベートになると何度家に帰ってくるの?と思うくらいに忘れ物を取りにくる
忘れ物が無い日は逆に不安になって連絡してしまうくらいには常習犯だ
ご飯も食べて風呂も入りビール片手にゲームをしてると風呂上がりの由梨も缶チューハイを持ってきて隣に座った
そのタイミングでゲームを中断する
「ねぇ。この前言ったやつなんだけどさ。」
そうやって切り出すと、ん?と俺に目を向ける由梨
「あれですよ。ほら。供養行くかってやつ」
「ほんとは行きたいんでしょ?」
俺の言葉に一瞬瞳を揺らす由梨
それは声には出してないけど、はい。と言っている気がした
何も発しない由梨をじっと見つめると観念したのか、ふぅ。と一息つく
「私は、…。あの子の母親だけど。今は、和さんの奥さんなんです。」
そうですねぇ。と相槌をうつとちょっとだけ笑う由梨
「今の和さんとの生活を私の行動で乱したくないです。」
微笑みながらそう言う由梨は真剣で。
それでも本心は行きたいと思っているのだろう
そっと手をとり優しく握った
結婚前のように握りしめることはなくなった由梨の手のひらはサラサラしていてお風呂上がりだからかいつもより少し体温が高い
「俺もそう思ってる。…でもさ、本当は行きたいんでしょ?」
もう一度そう聞くと黙り込むので今度は俺がフフッと笑う
「行こっか。…皆んなで」
「はい?」
意味がわからなかったのかそう言う由梨を見つめる