• テキストサイズ

2人の距離〜2nd〜

第19章 19






「由梨がね。前に言ってた。……ほら。子供のこと」

「………はい」

思わず拳を握りしめてしまう


それをすぐに和さんの手によって開かされた



「正直ね、思わないこともないよ」

和さんの顔が見れなくて

私の手のひらをさわさわしてる和さんの親指を見つめる


「でも、それは大前提じゃなくて。………フフッ。そうだな。由梨がこうやって隣にいてくれたらそれで充分なのよ」





嬉しくって



思わずさわさわされてた指を握ると



握り返してくれる





「それにね。…そういうのは授かり物って言うし。


あと、もういっこ思うのは貴女の負担が大きすぎるから。
手放しで考えらんないってのはある」







あの時のつわりも


出血も

陣痛も


出産も



鮮明に覚えてて



それをわかっててきっとそう言う和さんには


優しさが溢れてて



思わずポロっと涙が溢れた













「……怖いんです


もし、妊娠してもちゃんと育つのかなって



私は[あの子]を育てきることが出来なかったから



それに。



ちゃんと愛してあげられるのかなっ」




過去に一瞬でも思ってしまった闇の部分が顔を出して



ポトっと零れ落ちた涙が和さんの手に落ちた





/ 158ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp