第19章 19
「由梨がね。前に言ってた。……ほら。子供のこと」
「………はい」
思わず拳を握りしめてしまう
それをすぐに和さんの手によって開かされた
「正直ね、思わないこともないよ」
和さんの顔が見れなくて
私の手のひらをさわさわしてる和さんの親指を見つめる
「でも、それは大前提じゃなくて。………フフッ。そうだな。由梨がこうやって隣にいてくれたらそれで充分なのよ」
嬉しくって
思わずさわさわされてた指を握ると
握り返してくれる
「それにね。…そういうのは授かり物って言うし。
あと、もういっこ思うのは貴女の負担が大きすぎるから。
手放しで考えらんないってのはある」
あの時のつわりも
出血も
陣痛も
出産も
鮮明に覚えてて
それをわかっててきっとそう言う和さんには
優しさが溢れてて
思わずポロっと涙が溢れた
「……怖いんです
もし、妊娠してもちゃんと育つのかなって
私は[あの子]を育てきることが出来なかったから
それに。
ちゃんと愛してあげられるのかなっ」
過去に一瞬でも思ってしまった闇の部分が顔を出して
ポトっと零れ落ちた涙が和さんの手に落ちた