第16章 16
地方撮影は撮り終えて家に帰る回数も増えたけど
やっぱり由梨とはすれ違いで
水回りが変わってたりちょこちょこお土産なのか酒のレパートリーが増えていくのを見て存在は確認できるんだけど
そろそろね
足りなくなってきたかなって思い始めていた
「(コンコン)失礼しまーす!和さんおかえりなさーい!」
俺がMCのバラエティに今日は秋ちゃんが単独ゲストで
あー。絶対楽屋がやかましくなるなって思っていたら
やっぱりね
「んあ?!あれ?ヘアメイク悠なの?」
「あ!秋さん!お疲れ様です!実は、へへぇ」
ちょっと自慢げに鼻を鳴らす悠にこっそり笑う
「えっ!てことは見初められたの?」
「そうなんです!ありがたいことに」
ハイタッチしてはしゃぐ時期専属メイクと後輩
やっぱり騒がしい
ここ俺の楽屋なんだけどね
「あ!和さん!もう寂しくて死んじゃいそうなんで今夜とかどうっすか?飲みいきません?ゆりもまだ忙しいし!」
本当に寂しそうな顔をしながら正座して見上げてくる
その姿は尻尾が生えている様にしか見えなくて
「ンフフフ。いーよ。3人で飯食いに行こう」
「ぷはー!!この為に働いてるわ」
「秋さん。おっさんしてますよ」
気にせず美味しそうに飲む秋ちゃんに、ンフフ。と笑いながらビールを飲み込む
「秋ちゃんの気持ち。めちゃくちゃわかる」
「ですよね。ホラ。悠も飲めって。んな事言えなくなっから」
悠もゴクゴク飲んで結局同じ事を言う始末
「和さん。由梨と連絡とってます?」
「ん?時々写真撮って送り合ってる」
「え、電話とかしないんすか?」
ちょっと驚いた顔をする悠
そういえばあの最初の電話以来してないな
「そうね。まぁもう帰ってくんじゃない?」
予定知らないけど。と続けるとまたびっくりする悠
「えっ?由梨さんの言ってたのマジなんですか?お互いのスケジュール把握してないって」
「それ本当だよ。なんなら俺の方が2人の予定詳しい事あるし」
ケラケラそんな事言う秋ちゃんに納得してしまう
「そういや秋ちゃんにはスケジュール伝える事多いね」
「なんですかそれ。不思議な夫婦!」
「な!面白いだろ?」
なんでか秋ちゃんがドヤ顔