第16章 16
「………フフッ」
「どうかした?」
映画共演者の1人にそう言われて、なんでもない。と答えつつ携帯に映る写真を見つめた
これは
あー。あいちゃんか
ツーショットを見て納得する
だってこんな無防備な写真撮れるの
今のあの人の周りだと2人しか思い浮かばない
驚いてる姿も
両手で赤くなった顔を隠す姿も
楽しそうに酒片手に女子会してる姿も
全部愛おしくて
思わず再度、フフッ。と笑ってしまう
「あ、由梨さん」
背後で俺のヘアを直しに来た悠にそう言われる
悠は今回修行がてら俺の専属メイクとして一緒に映画撮影に来ることになって
「中々なベストショットもらっちゃったな」
ニヤニヤが止まらずそう言うと
「ニノさんも中々っすよね」
言ってる意味がなんとなくわかってしまって、ンフフ。と含み笑いをする
「俺、最近ニノさんのツボ分かってきたかもっす」
「フフッ。それはそれは」
「……つか。随分良いトコのホテルっすね!」
ベランダらしき場所からの夕焼けの写真を見てそんな事を言う悠
「由梨にくっついてけば行けたねー」
羨ましそうな顔をするからわざとニヤニヤしながら悠を見る
「なーに言ってんすか。俺、ニノさんに着いて来れてめちゃくちゃ嬉しいんですよ?待ち時間とか、あと撮影早く終わったら楽しみもあるし」
悠は元々ゲーム会社に就職しかけるくらいのゲーム好きで
そんな事を知っちゃったらさ
合間で白熱しちゃってる
「ンフフ。由梨いなくて最初不安そうだったのに。すっかり板についてきちゃって」
もう1ヶ月は毎日一緒にいる悠を俺はかなり気に入ってしまってる
「もうこのまま個人の仕事の依頼は悠かな?楽だし」
「まじすか……一応由梨さんに挨拶させて下さい」
嬉しそうにそんな事を言うので、んじゃ一緒に挨拶してあげる。と含み笑いをした