第15章 15
たいちゃんとのオンライン飲み会はそこそこな時間に終わり
ふと和さんに連絡して
「んー?」
「あ、和さん。お疲れ様です。」
「うん。おつかれ」
特に話す事がなくて
ちょっと沈黙してしまうと、フフッ。と笑われた
「あ、ごめんなさい。ただちょっとだけ」
「聞きたくなっちゃった?」
クツクツ堪えながらそう言う和さんに改めてなんでもわかっちゃうんだなと思って、フフッ。と笑った
「はい。…まだ撮影中でしたか?」
「さっき終わったとこよ。だから安心して」
仕事中に電話するのは気が引けて
いつもそんな時は駆け足になってしまうからそんな風に言ってくれた
「そっちは順調?たしかあいちゃんも一緒なんだっけ?」
「はい。空さんとあい結構相性いいみたいです」
一度ツアー始まった直後にスタッフ総出で飲みに行った時、あいと空さんは意気投合して何回か3人で地方のご飯処に行ったりした
「フフッ。なんか想像つくな」
「和さんは?体調とか崩されてないですか?」
体調を崩しても難なくこなしてしまう和さんが心配でそう聞いたら、元気だよ。と一言返ってきた
「由梨もまだまだよね?貴女こそ無理しちゃだめよ?」
「はい。ありがとうございます」
また暫くお互い喋らなくて
でも
この沈黙もなんだかよくて
「フフッ」
思わず笑ってしまう
「なんか、こうやって電話するの初めてですね。酔った勢いだったんですが電話して良かった」
「フフッ。飲んでたんだ」
「はい。たいちゃんと」
あー。いつものやつね。とオンライン飲み会に気づいて笑う和さん
「ほーんと。2人とも寂しがりやなんだから」
その言葉にさっきまで話してた、たいちゃんの言葉を思い出した
でも
やっぱりそんな事言えなくて
「……なんかまた考え事?フフッ。」
電話越しでもバレてしまうって
和さんは本当にすごいと思う
「時々、電話しちゃうかもです」
「確定ではないのね」
含み笑いでそう言う和さんにフフッ。と笑い返して別れの挨拶をして電話を切った
ちょっと話しただけなのに
なんだか酷く安心して
そのまますぅっと意識が遠のいて夢の中へ…