第15章 15
それから時々
和さんは写真を送ってくれて
「あ、…フフッ。」
「どうしたの?」
日本から飛び出して、海外にいる私たちは
今あいと2人の女子会をしていて
そんな時にいつもの写真が
「見て?可愛い。野良猫かな?」
そこには野良猫と思われる猫の写真と
猫を愛でてるであろう和さんの手が映り込む写真が
「可愛い!…ん?これ二宮さんから?」
「そう。時々無言で送ってくるの」
猫もいいよなー。とそれを眺めながら呟く
「猫も?何か飼ってるの?犬とか?」
犬
たいちゃんを思い浮かべて一瞬、飼ってるよ!と言いたくなったがやめた
「何も飼ってないよ」
あいは不思議そうに首を傾げた後直ぐに何かを思い立ち
「あ!そうだ!!由梨、ほらこっち向いて!」
私の携帯を取り上げて一瞬の速さで写真を撮られた
「わっ!!やだ!恥ずかしいよ!」
「いーじゃない。二宮さんきっと喜ぶよ!」
そんなはずないと思う
別に美人な訳でもないそこそこ連れ添ってる嫁の驚き顔なんて
「喜ぶなんて…恥ずかしすぎる」
顔が熱くて絶対赤いから両手で隠す
パシャ
「…へっ?!もしかして!」
「かーわい♡」
「もぅ」
あいは可笑しそうに笑って
「2人でも撮ろっ」
その後も何枚か撮られて
強制的に最初の2枚も送らされる羽目に
暫く飲んでると夕陽がホテルのベランダに照らされてて
外に出ると陽の反射でキラキラと街が輝いて見えた
ふと和さんとの海での出来事を思い出す
あんなに全部言うつもりなかったのに
優しく見つめられて
一度出始めた言葉はするすると紡がれていき
あっという間にこぼれ落ちてしまった
困ってた
和さんの顔が今でも鮮明に思い出せて
思わず拳を握りしめる
「…由梨?どうかした?」
突然黙り込んでいた私を心配そうな顔で見つめるあいに、なんでもないよ。と笑った
fin