第14章 14
「由梨も、あんまり無理しちゃダメよ?楓ちゃんに怒られちゃうから。主に俺が」
「え?和さんが?」
何でかさっぱりわからない。と首を傾げるので、フフッ。と笑ってしまう
「ただでさえ目つけられてんだから」
「和さんと楓さん。仲良しでは?」
あ、そうだった
この人も相葉さんに近いとこあったわ。
思わずまた笑う
「フフッ。そりゃそーでしょ?貴女楓ちゃんのプロポーズ断って俺と結婚しちゃったんだから」
一気に赤くなる由梨に、クフフっ。と吹き出す
「えっ、で、でも!あれは冗談ですよ!だって楓さん女性ですし!」
「いや、由梨に対してはどうでしょうね?あー。困ったな。結婚しても悩まされるなんてね」
わざとそう言ってるとあわあわし出す由梨
「由梨ー。相変わらずなんだね」
涼まで乗っかっちゃって
「2人とも、、私で遊んでる?」
いつも通りに両手で顔を隠すから
「遊んでると思う?」
「だって!………和さん楽しそう?」
あら、よくわかってらっしゃる
「ハハっ。ほんと2人とも面白い」
いや、涼とあいちゃんの方が面白いでしょ
と思ったけど言わなかった
涼の店を出るとちょっとだけ入る時より涼しくなった風がお酒の入った身体にちょうど良くて
少し息を吸い込んでからタクシーに乗り込んだ
「沢山飲んじゃいました」
「美味しかったね」
「簡単なレシピも教えてもらったし、今後の晩酌も楽しみですね」
ニコニコ笑って嬉しそうにする姿は
あの海の時の表情とはかけ離れてて
なかったかの様に感じてしまう
けど。この人の奥底に眠ってるんだよなって
何となくわかるから
いつかちゃんと話してあげたほうがいいんだろうけど
俺もまだちょっとその勇気は持ち合わせてなくて
このままのペースでゆっくり過ごして
いつか
自分達が本当に変わらなきゃいけなくなったときでもいいんじゃないかなって
そう思ってるんだけど
そんな言葉も今の由梨にはプレッシャーかなって
大事にしたいから故の臆病が出てきてしまう