第13章 13
あれから私達の生活は
穏やかなもので
ちょっとだけ和さんにいつもより甘えてみたりして
大丈夫かな?
ドキドキしたけど
和さんは目を細めるだけで
相変わらずいつも通りだった
それから日をたたずして
私は空さんに差し入れという名の様子を見に来ていた
「おー。にのくんにお礼言わなきゃ。由梨もありがとね」
小休憩に入った空さんは和さんの差し入れと私の差し入れを物色しながらそう言った
「ところでさ。…なに?会いたくてきちゃったの?」
ニヤニヤそんな事を言う空さん
あながち間違いではない
「フフッ。そうです。空さんこの期間入るとご飯忘れちゃうし。いつも欲望に忠実なのにそういうのもなくなっちゃうじゃないですか」
心配で来ちゃいました。と続けると嬉しそうに笑う
「あと、本当に顔見たくて」
「ん?…ちょっと疲れてる?」
少し心配顔をする空さん
ずっと一緒にいる空さんはたいちゃんに感じる親友ともまた違って
戦友?
あの出来事から救い出してくれた1人だから
色々吐き出してしまいそうなのをグッと堪える
だけど嘘なんかどうせすぐバレてしまうだろうから何も言えなくて
八の字眉になってるのが自分でもわかった
「なんだよ。にのくんに言えないような事でもあんの?」
首を横に振る
「そ。…それなら、いーよ。由梨がにのくんにも言えないなら大事件だから」
空さんが立ち上がり
冷蔵庫から
「とりあえず飲もう!今日はおしまーい。もう由梨の顔見た瞬間から飲みたくなった!」
キンキンに冷えたビールを手に持たされる
「え、まだ外明るいですよ?」
「今の俺に昼夜は関係ないの。付き合えって」
ベストビジネスパートナーだろ?とニヤつく
「それ、まだ言うんですか?」
何年も前に飲んだくれた時に言ってた事を持ち出す空さんに思わず笑う
「いーじゃん。俺は今も思ってるよ?俺は由梨の仕事ぶりを愛してるの!だから、付き合って?これも」
頼むから一緒に飲もう!と目をキラキラさせてくる空さん