第13章 13
「んっ、………あれ?泣いてる?」
寝ぼけながら手を伸ばして私の頬をさわさわしてからゆっくり起き上がる
そして手を広げて
「きます?」
迷わず飛び込んだら
「フフッ。なに?秋ちゃんにいじめられたの?」
多分悲しみの涙じゃないことに気付いててそう言う和さん
「ごめんなさい。俺の所為でーす」
「だめよ。秋ちゃん。大事にしないといけない事分かってると思ったんだけどな」
ゆっくり背中を、トントン。と叩く音と
和さんの心音で溢れてた涙がだんだん落ち着いてくる
「それって何なんですか?」
まだ少し残ってる涙を見てティッシュをくれる和さんが、フフッ。と笑う
「そーね。本人目の前にして言うのはどうかと思うけど
簡単に言うと、大切にする事かな?この空間と紅一点を」
紅一点?
どんな時に使うっけ?
ちょっとだけ考え込んで
思い出して
顔が熱くなる
「ありがとうございます。……たいちゃんも」
恥ずかしくて和さんの胸に再度顔を埋める
「ハハっ。和さん当たり前じゃないすか!でも俺は!夫婦丸ごと好きなんで!和さんも大切にされてください!」
「えー?俺は由梨で充分だよ?秋ちゃんの愛情深そう。お腹いっぱいだわ」
「なーんで!いいじゃないっすかー!俺もハグします?」
思わずクスクス笑ってしまう
「あら。今度は笑って。感情忙しいね、」
ほんとに
この3人で居ると
ちょっとだけ感情が忙しい
でもそれもまた幸せなんだなって思った