第7章 黒闇家は鬼の血を引く
日が高くなった頃、鈴音は黒闇家の本家に到着していた
白霧家よりも大きな門構えに圧倒されるが、それよりも中はもっとすごかった
「若っ!お帰りなさいませ!!」
何人もの男たちが行列を作り八千代に頭を下げる
「……若?」
隣にいる八千代を見上げれば、彼は困ったように笑った
「困ったな。皆いつまでも俺を子供扱いするんだ」
「こ、子供扱い?」
ちょっと違うような、と鈴音は首を傾げたが
皆の視線が鈴音に集まり、思わず一歩後ずさる
「皆、あまり見ないでくれ。これは俺のだ」
伸びてきた腕が鈴音を抱きしめると、視界には八千代の胸しか写らない
「あぁ、やはりそうでしたか!」
「そのお方が白霧家の!」
わいわいと盛り上がる
鈴音は八千代の袖を引っ張りながら顔を上げた
「八千代さん…皆さんにご挨拶させて下さい」
「……しょうがないな」
八千代はやや不満そうに腕を解放してくれた
改めて迎えてくれた人たちを見渡し鈴音は丁寧に頭を下げる
「はじめまして。白霧鈴音と申します。どうぞ、よろしくお願い致します」
やや間があったが
「こ、こちらこそ」
「よろしくな!」
気さくに声をかけられ、鈴音はほっとする