第1章 それは責務
時は戦国時代
本土は戦が繰り広げられ、人々の平穏は既に姿を消していた
そんな本土から離れた離島
地図にも載っていないような小さな島だ
島の名前は黄の國島
限られた者しか島に渡ることができない特別な場所だった
島では主に二つの家柄が治めていた
巫女を中心とした白霧家
鬼の血を引くと言われている黒闇家
両家は島を南北に分け境を引き、交流することはなかった
しかし、両家に与えられた義務は同じ事だった
島に二つある祠
それを死守することだ
祠は神を祭っている訳ではない
黄泉の世界へと繋がっている
両家は祠に結界を張り、黄泉から死者が這い上がってこないようにすることが使命だった
白霧家の巫女、鈴音は三ヶ月前に当代の座に付いたばかりだった
白霧家の代表巫女は桜楼巫女(オウロウミコ)という称号が与えられる
そして、白霧家の中で最も魔力が強い証しでもあった