第12章 ★桜の秘め事(~P182)
翌朝ーー
桜は全然寝れなかったせいで頭がまともに働かない
ただ、昨夜聞いた話は何度も脳内を駆け巡っていた
男が女を抱く
ただ抱き締めるのとは意味が違う
生々しい話を聞かされて桜は顔を真っ赤にした
…し、仕事に集中しなきゃ
なんとか朝食の配膳を終え、祠へ向かった八千代たちを見送ると桜は空き部屋の掃除を始める
普段使われていない部屋はいくつかあるが、使わないと部屋が痛みやすい
それに埃も溜まりやすかったため、掃除は欠かせない
掃除が終われば昼食の仕込み、掃除、夕食の仕込みといったいつもの流れで仕事をなんとかこなしていく
陽が傾き始め、夕食の準備にとりかかっていたところ
「桜」
不意に呼ばれて顔を上げると、そこには八千代がいた
勝手場に来るとは珍しい
「八千代様!?どうなされました!?」
驚いて声をあげるが、八千代は淡々としていた
そして意味のわからないことを聞いてくる
「帳とはどうだ」
「…どう、とは?」
幼なじみの帳
今日も何度か話をしたが、お互い忙しいため一言二言話すだけだ
「仲良くしているか、って意味だ」
「あっ、はい!もちろんです!」
質問の意味を理解し、桜は返事をする