第11章 媚薬の熱
「まぁ、結果は聞かなくてもわかりました。さすが八千代様ですね」
「ふざけるな。媚薬の調合は禁止だ」
二度と作るなと命じるが、紫村はわざとらしく驚いた表情を見せる
「そんなことをおっしゃらないで下さい。一応効果は抑えさせていただきます。私は黒闇家の未来の為にも活用することをおすすめしますよ」
ニヤニヤと笑いながら紫村は踵を返して消えていく
引き留める気力も無い八千代は仕方なくその後ろ姿を見送ると
喉を潤してから鈴音の元へ戻る
部屋ですやすやと寝ている鈴音
できる限り体をきれいにしてやると一緒に布団に潜り込む
あと数時間で起きなくてはいけない
八千代には睡眠時間は限られていた
それでも鈴音の寝顔を眺める
安心しきったその表情に八千代は心がほぐれる気がした
「鈴音…」
「んっ…八千代さ…好き…」
八千代の夢でもみているのか…
八千代は鈴音を抱き寄せると目を閉じる
腕の中の温もりが自分を幸せにしてくれる
八千代は深い眠りについていった
それからまる一日眠っていた鈴音は己の乱れっぷりを思い出し
恥ずかしさに悶えたのは言うまでもないーー