第11章 媚薬の熱
本土での戦、激化せり
死者、半月で十万
そんな報告書を見て八千代はため息をこぼした
落ち着いた戦がまた過激化しているというのだ
武将と呼ばれる猛者が大軍を率いての戦争
黄の國島では戦など起こらない
よって、何故戦争が行われるのか理解できなかった
この島に祠が建てられた理由は二つ
本土にいる者に管理を任せれば国の事情により形骸化してしまう恐れがあること
万が一、黄泉から死者が現れた場合、本土に蔓延するよりも小さな島で被害を抑えること
そして島に渡るよう命じられたのが黒闇家と白霧家だ
黒闇家は鬼の力を引いていたため
白霧家はもともと強い魔力を保持していたためと言われている
祠の管理を任されてから千年
本土の人間はそんなことを忘れ、わざわざ戦で死者を多く出し、現への思いが強い亡者を作り出していた
祠が黄泉の力に負けそうな時もある
それが少し前に表れた亀裂だ
今ではもう塞がっているが、亀裂が発生した時の村の混乱を考えると二度とあって欲しくない
しかし、それは出会いを生んだ
鈴音
今では自分の妻となり、祠の結界を強化するための良きパートナーとなっている