第9章 二人のこれから
二人で作る未来は
一体どんな風になるのかーー
鈴音と八千代が二人で祠を回るようになってから二ヶ月が経っていた
祠の亀裂は徐々に消え始め、今では半分くらいにまでなっている
このままいけばあと数ヶ月で消えるだろうと皆も安心していた
「亀裂が完全に消えたら祝言を上げるつもりです」
白霧村で菊にはっきりそう言ったのは八千代だった
婚約していたが、祝言の日は未だ明確に決められていなかったのだ
「場所は北と南の境近くにある神社で行う予定です。あまり大きい場所ではないから限られた人数のみとなりますが」
境近くにある神社…
八千代の隣で鈴音は顔を赤らめる
そこは八千代と初めて出会い、結ばれた場所だ
「そうですか。わかりました。日にち等は全て二人にお任せします」
菊は優しい目をして二人を見つめた
そして、幸せになりなさいと呟く
本土では相変わらず戦が続いているようだった
よって死者の数も減ることはなく、祠の結界強化は油断できない状況なのは変わらない
人がなぜ殺し合うのか理解できないが、鈴音の仕事は結界の強化
黄泉から死者が這い上がってこないようにする事だ
「ありがとう、おばあ様。私、幸せになります」
鈴音は菊に抱きついていた