第15章 役不足。
今日は、部活後にすぐ帰らなくてはいけないため、歩道を歩いていると、蛍と山口君が歩いてきた。
「お疲れ様。」
「お疲れ。」
そんな簡単な挨拶を交わしたあと、ぼそっと、蛍がつぶやいた。
「…送る。こんな時間に一人で帰るくらいなら、僕に声かけなよ。」
私も、山口君も驚きを隠せなかった。
まさか、まさか…蛍がそんなこと言うなんて!
まぁ、嬉しかったから、素直に甘えることにした。
「月島!!!!…さん」
そして、3人で歩いていると、怖い形相で日向くんと影山くんが追いかけてきた。
内容は、蛍に勉強を教えてほしい、とのこと。
あの影山君が頭を下げるくらいだから、本気なんだろうな。
分かれ道で山口君とも別れ、私と蛍の二人きりとなった。
「東京の遠征、頑張ってね。」
「まぁ、それなりには頑張るよ。」
口を開いたのは、私から。
蛍は、いつもサバサバしてる。
というか、一線ひいてるようにも思う。
「なにそれ。あっ、ねぇ、今度私にも勉強教えてよ。蛍、頭いいし!」
「別にいいけど。」
「ありがとう!」
そんな、なんでもない普通の会話のやり取りをして、一日の幕を閉じた。