第15章 役不足。
「えーおほん。」
浮かない気分のまま、部活のミーティングは始まった。
「で、例の東京遠征ですが、…学校からの承諾も、基本的には大丈夫。ただ…」
部員たちはわくわくしているようだった。
それもそうだ。みんながライバルとしている音駒だけでなく、いろいろな強豪校のいる練習試合。
でも、武田先生は緊張した空気を作った。
あぁ、嫌な予感がする。
「で、来月になったら期末テストあるの、わかるよね?」
…なんだ、そんなことか。
「わかるよね?」
そんなこと、わかって…
…全体を見渡すと、顔をそらす4人の姿が目に見えた。
あぁ、期末テスト…あぁ…
「予想ついてるかもしれないけど、赤点で補修になる教科がある場合…」
補修は週末。そして、遠征には行けない。
その事実を告げられ、その4人は現実逃避を始めていた。
「田中!西谷!どこにいく!?どこにも逃げられないぞ!縁下つかまえろ!!」
「あかっ、赤点って…何点からですか!!?」
「影山が息してません!!!」
そう、4人とは影山くん、日向くん、西谷先輩、田中先輩の4人のこと。
「あははっ、阿鼻叫喚。」
そういって笑う蛍を見て、ちょっと同感だと思ってしまった。
こうして、練習試合の前には、期末テストというなの標的が現れたのだった。