第14章 敗者と不安。
その言葉の通り、1回戦突破、そしてさっきの伊達工業高校にも勝利した。
「勝ちましたね!菅原先輩!!みなさんも、おめでとうございます!」
私は、体育館から出てくるみんなをお出迎え。
真っ先に、菅原先輩のもとへ歩み寄った。
「うん。でも、…自分のトスで勝てたらよかったと思うよ。…なんか、やっぱり、あいつのほうがかっこよく見えたよな。」
と、苦笑いする菅原さん。‘あいつ’が誰を示すのかなんて、すぐに分かった。
二口さんだ。
たしかに、二口さんはフルで試合に出てたし、烏野といい勝負をしていた。
でも、だけど、
「私は、菅原先輩の応援があったから、菅原先輩の期待があったからこそ、みんな頑張れたし、旭先輩も打てたんだと思います。だから…菅原先輩いてこその勝利だったんだと思います。烏野に、誰がいなくても、今日の勝利はなかったんじゃないでしょうか。」
「…ありが、とうっ。」
涙があふれて、こらえているときの菅原先輩。
その表情が愛らしくて、笑みがこぼれた。
「お前がまだ戦うつもりでいてよかった。」
そんな菅原先輩の肩をぽんっとたたいて、澤村先輩が言った。
3年生の絆の強さが、感じられる瞬間だった。
翌日――
2回戦まで突破し、今日は3回戦となる。
その相手は、あの青葉城西。
あのときの練習試合では勝った。
けど、及川さんがフルでいたわけじゃない。
今回は―――