第14章 敗者と不安。
「あ、あの…蛍?あの人たちは…?」
「伊達工業だ…!」
蛍に聞いた質問は、別の人の声によってかき消された。
とても大きくて、目つきもなんだか怖い。
中でも一番怖そうな人が、旭先輩を指さす。
それを、中でも可愛くて顔の整っている二口と呼ばれた人が止める。
そして、
「こいつ、エースとわかるとロックオンする癖があって…。今回も、覚悟しといてくださいね。」
と、告げた。
今回も、がどういう意味なのか、よく分からないけど、そのピリッとした雰囲気は感じ取ることができた。
「あっ、ちなみに、俺は君のほうがタイプかな。」
そんな二口さんが去り際に言った一言とともに、その指は私のもとへとむけられた。
「でも、俺の彼女だから。」
私の前に立ったのは、菅原先輩。
こんな時、いつも誰かが私の前に立ってくれるんだよなぁ。
「そうなの?じゃぁ、俺がいいところ見せて奪っちゃうから。じゃ、またね。」
その去ったときの背中に、たくさんの殺気が刺さっていたのは、言うまでもなかった。
「のやっさん、これは負けられねぇな。」
「龍、やるぞ。」
西谷先輩のやるぞ、が漢字になっていなくてよかった…。
「菅原先輩?」
「大丈夫。もう、あいつらに負けないから。」
菅原先輩の目は、一点だけを見つめていた。
見た目的には、二口さんの背中を見ていたけれど、きっと、その目に映っているのは、勝利。