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ほたる。

第14章 敗者と不安。


次の日の朝。ついにIH予選の前日。
準備をして外に出ると、

「よっ」

「あっ、おはようございます!」

菅原先輩が家の塀にもたれかかり、待ってくれていた。

「菅原先輩、今日は頑張ってくださいね。ベンチには入れないけど、上から応援してますから!」

「あっ…、おう、ありがとな。あのさっ」

「はい?」

「…いや、なんでもない。俺、頑張るから。」

私の応援に、ぎこちなく笑う菅原先輩。
やっぱり、緊張しているのかもしれない。

その後は、旭先輩、澤村先輩と合流した。

旭先輩がセンチメンタルなことを言おうとして、澤村先輩が止めて…
結局はいつもの先輩たちだなって思う。

学校についた私たちは、バスに乗り込み、会場へと向かった。

会場に着くと、烏野はある意味…注目の的。
飛べない強豪、落ちた烏。
そんな異名であったり、
旭先輩が5年留年しているだとかのうわさであったり。

そういう噂たちにも、笑えてしまう。
みてろよ!!って。

そして…

「おい!みろよ!」

「かんわいっ」

「声かけてみろよ…‼」

そんな声の先には清子先輩が。
不快に思ったけど、そんな心配はよそに、周りには西谷先輩と田中先輩が。
残像が見えるくらいはりきって守ってくれていた。

いつも通りの烏野に、クスっと笑っていると、私の隣に蛍と山口君、後ろに日向君がきて一緒に歩き始めた。

「笑ってるけど、夏蓮も女なんだからね。」

「え?…あぁ!でも、私は清子先輩みたいにきれいでも可愛くも「あるよ!!」」

私のことを心配してると、清子先輩みたいにナンパされそうになるぞと、遠回しに蛍が言ってくれた。
そんな心配はいらないと言おうとした言葉をさえぎってきたのは、山口君。

それ以上は私は何も言わなかった。
私なんかでも、守ってくれる人がいる。その事実が嬉しくて、心がほっこりしたから。
なんだか、お姫様気分。

菅原先輩はというと、落ち込む旭先輩を慰めていた。
ちょっと寂しくも感じたけど、菅原先輩らしいかな、とも思った。

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