第13章 一緒に帰ろう。
解散、と思いきや、武田先生の一言で、みんなの視線は二人のマネージャーのもとへと集まった。
「…激励とか…そういうの…得意じゃないので…夏蓮ちゃんと相談して決めたの。」
そう清水が言うと、二人は体育館の二階部分へ上がる階段を上り始めた。
そして、細い細い、ギャラリー部分で
‘飛べ’
そう書かれた旗を広げて見せた。
テンションの上がる西谷と田中を澤村が鎮める。
その隣で、まだ言葉を発するであろう二人をじっと見つめていた。
「菅原先輩、ごめんなさい!どうしても、これ…きれいにしたくて…。」
あぁ、それで…それで帰れなかったのか。
ただ、彼氏として役不足なのかと思ってた…。
「「がんばれ」」
そして、清水と二人で発したこの一言に、俺を含めた二、三年は涙を流した。
「一回戦、絶対勝つぞおおおお!!」
「うおおおおッス!!」
たったこれだけのことで、俺たちはやる気が出る。気合が入る。
なんだかんだで、単純だなぁ…。
俺たちが無駄に叫んでいる間に、マネ二人が下りてきていたらしい。
楠が俺の近くにきて、耳打ちをしてきた。
「今日は、用事…ないデス…。」
耳打ちってだけで緊張するのに、なんか意味深な言葉。
いや、そんな気持ちで言ったわけじゃないことはわかるけど、俺はぼんっと効果音がつきそうなほど一瞬で顔が茹蛸のように赤くなった。