第12章 嫉妬。
夏蓮Side
音駒戦前日。
潔子先輩と手直ししていたユニフォームがやっとできたため、それをみんなのもとへ届けた。
「じゃぁ、配りますっ」
少しだけ、緊張した様子の先生。
先生に呼ばれた順に、私と潔子先輩で渡していった。
「菅原先輩、どうぞ。」
「おう、ありがとな。」
まだ、付き合っていることをみんなに知らせてはいない。
知られたくないわけではないけど、こういうの、初めてだからどうしたらいいかわからない。
「はい、日向君。」
「俺10番!!」
数字の順番に渡していく。
「蛍も、がんばってね。」
「ん。」
みんながユニフォームをもらうと、一気に騒がしくなる。
日向君は、影山君が数字一桁なのが妬ましいらしい。
「あれっ…でも…。」
つい声に出してしまったけど、日向君のもらった「10」は、日向君にとって、特別なものだと思う。
だって、
「あ、そっか。番号までは覚えてないか。‘小さな巨人’が全国に出た時の番号、10だったぞ。」
バレー部のマネージャーになって間もないけれど、少しでも力になりたくて、バレーのこと、一番強かった時の烏野高校を何度も調べた。
だから、小さな巨人が10番だったって知ってた。そして、それを日向君が着ると思うと、感慨深かったんだよね。
気合が入ったところで、明日の試合、頑張ってほしい!