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ほたる。

第10章 初合宿。


菅原Side

「ちょっと、怖くて…」

そう告げた彼女があまりにも可愛くて、あまりにも女の子らしくて、
守ってあげたくなった。
それと同時に、顔が紅潮していくのがわかって、顔を隠すために楠を抱きしめた。

俺の胸に顔を埋めてくる楠が、すごく愛おしい。
まだ、彼女ではないけれど、少しずつ意識してくれるようになっているのかと、期待はする。

襖が開く音に、驚いたけど、彼女は俺の体に隠れていたし、すぐに離れたから抱き合っていたことは気づかれていない…と思う。

部屋から出てきたヤツが大地で良かった。
全てを話せば、さすがは部長。
提案をしてくれて、楠も話を飲んでくれた。

一晩、同じ部屋にいることができるんだ。
男として、きっと興奮とか、そういう方向に行くやつもいるんだろうけど、
俺は素直に、一緒に居られることが嬉しかった。

「さっきは、ごめん。急に…」

布団を取りに行くために、楠の部屋へ歩いている途中、抱きしめたことを謝った。

「いえ…。あ、あの…、えっと…、さすが男の人って思って…。体の大きさとか、かわいいって言ってくれる声とか、すごく、かっこいいと…思い、ます‥。」

「あ、りがとう…」

最後のほうは声が小さくなっていたけど、確かに、男の人だと思ったと、かっこいいと言ってくれた。
…これは、前進したんじゃないか?
と、驚きとともに彼女を見ると、茹蛸のように真っ赤になっていた。

「ぷっ…。顔まっか!」

場を和ませようと笑ってみせると、赤い顔のまま、微笑んでくれた。
まだ、付き合うまでに発展はしていないけど、このままでいい。
このまま、彼女を想っていようと、素直に思った。

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