第10章 初合宿。
「なに暗い顔してんの?」
「えっと…その…。」
怖い、なんて言ってもいいものなのか。
言ったところで、どうしようもないのではないか…。
菅原先輩は、焦らず待ってくれているようで、沈黙が流れた。
いつまでも待ち続けてくれるだろうけど、ちょっと申し訳なくて、ぼそっと、つぶやいてみる。
「一人で部屋にいるのが…ちょっと怖くて…。」
「!!」
何も言わず、そんな私を見つめていた…と思うと、急に私を抱きしめてきた。
「ちょ!菅原先輩!?」
「ごめん…。ちょっと、かわいすぎて…っ」
「っ…。」
直球にかわいいといわれたことに、
そして、男の人に抱きしめられていることに、すごくドキドキして顔が熱くなっていく。
きっと、いますごく顔赤い。
そんな顔を隠すために、菅原先輩の胸に、顔を埋めた。
しばらくして、ふすまの開く音がしたため、私たちはあわてて体を離した。
「菅原?」
「だ、大地!おどかすなよ…!」
「おぉ、楠もいたのか。」
「はい。」
私たちの近くに来た大地先輩に、菅原先輩は事情を説明してくれた。