第1章 烏野高校一年生。
蛍「山口うるさい。」
扉を開けたのは、月島くんだったようだ。
先程と同じように、眉間にシワを寄せて入ってきた。
山「ごめんツッキー!じゃ、俺は先に戻るよ!」
手をヒラヒラふって山口くんは去っていった。
月島くんと私の二人きりで、沈黙だけが続いている。
ぐっと拳を握って重い口を開いた。
だって、悪かったのは私の方だから。
「ご、ごめんなさいっ!私…!」
蛍「別に。慣れてるし、気にしてない。ほら教室戻るよ、楠夏蓮サン。」
「ありがとう…!」
くるっとドアの方を向いて歩き出す彼の背に微笑みながら感謝の言葉をのべると、
小走りで背中を追いかけていった。
このために、月島くんも来てくれたのかという思いと、
名前を知っていてくれたことの喜びで、
舞い上がってしまいそうだった。