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ほたる。

第1章 烏野高校一年生。


蛍「…なに?」

眉間にシワがよって、不機嫌そうな彼。
怖い、けど、疲れないのかなって疑問の方が大きい。

「あー、えっと、あのー。」

急に押された私は、当然話すことなんてない。
そんな姿をみて、月島くんの眉間のシワは増えていくばかり。

「えっと、月島、ほたる、くん?」

絞り出して名前を呼んでみたけど、それは逆効果だった。
フイッと顔を背けて、おもいきりひっくい声で…

蛍「けい、だけど…」

その言葉に私も、それを見ていた友達も、ピシッと空気が止まったような気がした。
これが石になるって感じなんだろうか。
月島くんの隣ではそばかすくんがクスクス笑っていた。

「すっ、すいませんでしたああっ」

その表情と雰囲気が怖かった私は、
ダッシュで教室を抜けていった。

あぁ、終わったな。
イケメンとの恋は。
いや、好きになったわけではないけども。
なんてこった。

いつの間にか屋上についていて、力が抜けた私は、あぁ…と、なんとも情けない声で項垂れてみた。

誰も見てないからできること。

?「ぶほっ…!!」

誰もいないからでき…
ぶほ?

?「お前一年か?面白い奴だなぁ。」

ハゲ…
ではなく坊主のお兄さんが私の死角から出てきて笑っていた。
なかなか怖い。

「ここって怖い男性しかいないんですか?」

思わず、心の声がもれる。

田「別に怖くねぇだろうよ。俺は田中だ!ちなみに二年。田中先輩と呼べ!!」

「はぁ…田中、先輩?」

田「お!?…ま、まぁそ、そんな感じだ!!じゃあなっ!!」

反り返ってわっはっは、と笑う彼をとりあえず呼んでみたものの、驚いて固まったあとは直ぐ様屋上から去っていってしまった。

山「ちわーっす!」

田「おう。」

田中先輩と挨拶してすれ違い、入ってきたのはそばかすくんだった。

山「俺、山口!さっきはツッキー怒ってるように見えたろうけど、めんどくさかっただけだから、気にしなくていいと思うよ!いっつも名前の読み方きかれるんだって!」

にこにこと話してくれた山口くん。
わざわざこれをいいに来てくれたらしい。

「…山口くんわざわざありがとう!!」

感激して山口くんの手を握ると、山口くんのほほが赤く染まった気がした。
免疫ないのかな。そんなところもちょっとかわいい。

そして、手を握ると同時に、ぎぃっと重たいドアの開く音がした。
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