第5章 火曜日、放課後
澤「あっ、お前らっ!ちょっと目ぇ離したスキにっ」
澤村先輩の声がすると、月島くんは相手をもう一度睨んでから私の手を引いて歩きだした。
…澤村先輩から逃げるかのように…。
月島くんの手、すごく大きい。
男の子と手を繋いだことなんて一度もなかった私は、顔が熱くなっていくことが自分でもわかった。
蛍「無駄に怒られたくないデショ。」
「えっ?あ、あぁ。でも田中先輩…」
蛍「可愛い後輩を守るためなんだから、大丈夫じゃない?」
不意に声をかけられて焦った。
そして、声をかけられたと同時に離された手がまだ熱い。
でも、月島くんは何事もなかったかのように、体育館前まで歩いていった。
体育館前に着くと、日向くんもヨロヨロしながら戻ってきた。
「「「おねがいしあーっす」」」
日向くんの背中を擦り、寄り添いながら声と共に体育館に足を踏み込んだ。