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ほたる。

第5章 火曜日、放課後


青城についてから、田中先輩に続いて影山くん、月島くん、山口くん、そして私が歩いていた。

?「烏野っつたらマネが美人ってことくらいしか覚えてないし」

?「まじっすか!?」

マネが美人、辺りからだろうか。
建物の影から聞こえた相手校のバレー部のものであろう声に音もたてずに近づく田中先輩。
月島くんたちもついて行っているので、一応私もついていく。
うーん…止めた方がいいのか……

あっ、

?「あと、ボーズで目付き悪くてさー。アッタマ悪そうな顔したー…」

それ、地雷では?

相手校の二人の前にぞろぞろと出る私達。

田「ウチをあんまナメてっと…食い散らかすぞ。」

田中先輩の威嚇には私も怯えてしまいそうになった。
まるで、まわりで烏が一斉に飛び立ったように、その表情は怖かった。
当然、相手も驚いていたのは言うまでもない。

蛍「そんな威嚇しちゃダメですよー田中さーん。ほらぁ、エリートの方々がビックリしちゃって可哀想じゃないですかあ」

田「おう そうだな。いじめんのは試合中だけにしてやんねーとな。」

そんな相手に言う月島くん。
この二人がタッグ組んだら嫌味でしかないな、と思ったのは内緒にしておこうかな。

?「べ、別にびびってねぇよ!」

一人が反論するなか、もう一人が私の方を見つめていた。
不思議に思って相手を見ながら首をかしげると相手はうっすらとほほを染めていた。
私もバカではないので察したけど、性格悪い人はお断り…

でも、これから練習試合が始まるのに空気を悪くしてはいけないと、愛想笑いをしたと同時に目の前に見えたのは、黒いジャージ。
柔軟剤の臭いが鼻をくすぐった。

蛍「うちのマネージャーになにか?」

?「べ、別にっ…」

見上げると、月島くんの顔。
月島くんが壁になってくれていた。
相手に睨みを聞かせる月島くんに、少し胸が高鳴った。
私のため、だと思っていいのかな……?

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