第2章 土曜日の試合。
教室に戻ってきた私。
机には“入部届”とかかれた紙切れが一枚。
この一枚で私の青春が左右される…
私だけじゃない。
私が入ることで、バレー部の青春も左右される。
中途半端なきもちのまま入部したら、
みんな気分悪いだろうから。
悩む…
菅「お!いたいた。」
「あっ、えーっと………」
菅「菅原、だよ。休憩中だから抜けてきた!」
ニシシ、と歯を見せて笑う菅原先輩。
黒いジャージを着たまま、汗も拭かずに来てくれたらしい。
「なにか、ありましたか??」
首をかしげて聞いてみる。
けど、返事はなく、うーんと悩んでいる様子。
菅「楠はさ、入部で悩んでる?」
「はい…。中途半端なきもちのまま入部なんて、迷惑かかるだけだし…」
部長が、大地先輩が今日月島くんたちに言ってた言葉を思い出す。
大『烏野が、春高で全国大会に出たときのことはよく覚えてる。…もう一度あそこへ行く。』
あの目は本気だった。
他の…あのヅラを飛ばした一年生たちにも伝えたらしい。
みんなに伝えるくらいの本気だ。
あの目に、私は鳥肌がだったんだ。
菅「俺たちは確かに全国を目指してる。本気だ。でも、まだ月島も山口も、その気持ちは薄いんじゃないかな。入りたてで全国優勝!って、掲げるのなんて難しいよ。」
…あ、あいつらは別か…なんてぶつぶつ言う菅原先輩。
つまりは…
「きっかけなんて、なんでもいい…」
菅「そう!それ!つまり、新しいことやってみて、少しずつ俺らと同じ目標を持てればいいんだべ??」
「…はいっ!」
決めてからの手の動きは早い。
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入部届
男子バレーボール 顧問殿
1年4組 楠夏蓮
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菅「よーし!大地のところ、行くぞ。」
「はい!」