第22章 ほたる。
―夏蓮Side
着替えが終わると玄関に蛍と谷地さんの靴がなく、
今家にいないことに気づいた。
「なにぼさっとしてんだ!!早くいかなきゃ!!」
そっと私の背中を押してくれたのは言うまでもなく菅原先輩。
「はいっ、」
唇をかみしめて、私は懐中電灯をもって蛍の元へ駆け出した。
それは、もう辺りが真っ暗な頃だった。
―菅原Side
背中なんて押したくなかった。
それでも、夏蓮の本当の笑顔が見てみたいと思う俺は、末期かも知れない。
走り出す背中を見てまた涙が出そうになるけど、ぐっとこらえて声を出した。
「おばあちゃん、この辺でも見れますか??」
「あぁ、そこの川でも十分、きれいに見えるよ。」
「ありがとうございます!」
教えてくれたおばあちゃんに頭を下げて、澤村たちのところに戻った。