• テキストサイズ

ほたる。

第22章 ほたる。


―月島Side

菅原先輩と夏蓮が話し込む様子を見て、澤村先輩がみんなに静かに戻ろうと声をかけた。

部屋に戻って着替え終わると、疲れた様子でみんな寝転がっていた。
そんな中、壁に寄りかかっていると、

「蛍、くん!ちょっといいっすか!!」

と、まだ呼びなれない名前を呼ぶ谷地さんに連れられて外に出た。

車の通らない、砂利道を無言で歩き続けていると、急に止まりだす谷地さん。

「やっぱり、私じゃダメですか?」

「は?」

急な問いかけに、間抜けな声が出てしまった。

「タオルも、私が渡したものじゃダメですか?
 私のタオルじゃ頑張れませんか?
 名前、いつになったら仁花って読んでくれますか?
 おにぎり、私が握ったのじゃダメですか?」

俯いてジャージをぎゅっと握り、捲し立ててくる。
こんな谷地さんは見たことがなく、驚いていると今度は震えた声で話し出した。

「ダメ…、だよね。月島君も、ダメだよ。今のままじゃ。…私、辛い…、」

砂利がぽつぽつ雨が降っているかのように濡れていく。
あぁ、谷地さん泣いてるんだ。
/ 136ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp