第22章 ほたる。
私は菅原先輩に呼ばれて少し離れた芝の上に座り込んだ。
「あの、さ…約束したこと覚えてる?」
話を切り出したのは菅原先輩だった。
約束が何を示すのか正直わかっていない。
見守るって言ったこと…?
首をかしげると、
「名前でよんでほしいって言ったこと。」
「あっ…、」
菅原先輩はうつむいてそう告げた。
言われてみれば、そんなこともあった気がする。
彼氏の頼みを忘れるなんて、一生の不覚…。
「すみませ「別れてほしい」」
苦笑いを浮かべて謝ろうとすると、私の言葉をさえぎってきたのは、ずっと聞くことのないと思っていた言葉だった。
「なん…で?」
胸が痛む。けど、それと同時にほっとした気がするのはなんでだろう。
「俺っ、本当に夏蓮のことが好きだからさ、できれば離したくないんだけど…。でも、好きだから幸せになってほしいっていうか…」
「私、幸せですよ?」
菅原先輩はうまく言葉にできないんだろう。
一つ一つ、考えながら紡ぐ言葉に、私は食い気味に返していく。
「幸せって感じてくれてたなら、俺の気持ちはちゃんと伝わってたってことか!」