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ほたる。

第19章 雛鳥。


「…青城戦のラスト、気づいたら負けてた。気づいたら打ったボールは俺の後ろで床に落ちてた。」
「俺が負けたのに、影山に謝られるなんて嫌だ。」
「空中での最後の一戦まで自分で戦いたい。」

それが、日向くんの言い分。
これって…、スポーツ選手なら当たり前に思うことだよね…。

「青城戦でスパイカーの100%の力を引き出すのがセッターだってちょっとわかった。
…あの速攻はお前の最大の武器だ。そんで、あの速攻にとって ほんの少しのズレ は 致命的なズレ になる。あの速攻に、お前の意思は必要ない。」

そして、これが影山くんの言い分。
…おい、貴様何様だコラ…。おっと、口が悪い。
一、スポーツマンで伸びようとしている人に意思は必要ないって!!!
なんてこと言うの…。
でも、影山くんはいたって冷静で、その言い分を告げると、そこから去ってしまった。

「いたのか…。」

「ごめんね。ちょっと気になって。」

そして、入り口の陰にいた私に気づいたようだ。
私の隣で影山くんも壁に背中を預ける。
…私の隣にくるなんて…珍しい。

「俺は…それがベストだと思っていたから…。お前は…っ、」

きっと、私にも聞こうとしたんだと思う。
そんな時に菅原先輩の声が聞こえて私たちはぐっと息をのんだ。

「ごめん…日向…。俺も…今の影山の意見聞いてたら、今回は影山の言うことが正しいと思ったよ。
あの速攻は十分にすごい。あれを軸に、他の攻撃を磨いていくのがベストだと思う。」

「あー俺も菅原派だな。自分で戦いたいって言っても、変人速攻はほんの一瞬勝負。あの一瞬を空中でどうこうしようってのも、正直難しい話だとおもうぜ。」

私たちに気づいたのか否かはわからないが、すっと、コーチも外に出て日向くんに言った。
そして沈黙が流れていたので、影山君に「聞いてて」と一言告げて外に出た。

影山君が私の意見も聞きたいと思うなら、私も言わなきゃいけない。

「コーチ、菅原先輩。私は日向くん派です。」

「楠!?」

菅原先輩は、目を見開いていた。

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