第19章 雛鳥。
そして始まる練習試合。
…まぁ、あの変人コンビがいないことで、いつも以上の苦戦を強いられているわけで…。
何度も試合に負けてペナルティーを受けていた。
周りの部員も烏野に対して不信感を募らせているところだった。
ギィィと、重たい扉の開く音がした。
そちらを見ると、きれいでかっこいいお姉さんが立っていて、後ろには待ち望んでいた変人コンビが立っていた。
お姉さんは、田中先輩のお姉さんだったらしい。
…似てる!!
彼らが試合に入って9セット目。
やっと勝利をつかんだ。
そしてラストの試合は音駒VS生川だった。
あの、ちょっと怖かった男の子が出ている。
やはり、烏野のメンバーもくぎ付けだった。しなやかに動く手足が、これからの伸びしろをあらわしているようだった。
「なぁ影山、「ぎゅん!」の方の速攻俺目え瞑んのやめる。」
そう、日向くんが告げたのは、二日目の遠征の、試合中だった。
「今のままじゃだめだ。俺が打たせてもらう速攻じゃだめだ。」
「それができなかったから普通の速攻になったんだろ。」
そして、彼らがぎくしゃくし始めたのは、一目瞭然だった。
その試合後、みんなが他校の試合を観戦しているときだった。
日向くん、影山くん、そして菅原先輩が外に行くのをみて追いかけた。
…、でも、私が出る幕でもないから話の聞こえて、彼らから見えない入り口付近で壁に背を預け、試合をみるふりをしていた。
「でも、試すぐらいならいいべ?ほら、前回音駒とやったときも、ぶっつけで普通の速攻できたわけだし…」
「あの時は、普通の速攻ならできる可能性があったし、それしか突破口がないとおもったからです。」
どうやら、菅原先輩は仲介になろうとしているらしいが、
その優しさも、真剣な二人は正論で返してしまう。