第13章 Party Next
フィルも踊りはとても上手で
オリヴァーの時は
身を任してリードされた方が楽
という感じだったけれど
フィルの場合は
優雅に2人で、周囲に惑わされず
私とフィルだけの世界に入る感じだ
フィルの時もオリヴァーと同様
踊りつつも周囲を見渡す
…でも、少し気になって
チラりとフィルの顔を盗み見る
うわあ… 美人だな…
本当に同じ人間なの?
色素の薄い銀髪に、淡い紫の瞳が
豪華な会場の照明に反射してキラキラしている
すると、気づかれてしまったようで…
フィルは悪戯に目を細めて
「どうされたのですかお嬢様
私に惚れてしまったのですか…?♪」
悪戯に笑ってもフィルは相変わらず美しい
「いや… 惚れてないんですけど
ただ美人だなって思っいました」
「そのセリフは私がお嬢様に言うべきですよ
踊りも上手で私はお嬢様に惚れていますよ♪」
「一応たくさん練習させられましたから
一国の王女としてですが
あと、そのお嬢様呼びやめて下さい…
普通にいつも通りティナって言ってくださいよ」
こんな調子でフィルと踊り続ける
オリヴァーの方もふと見ると…
「オリヴァーは流石ですね…
世界的に有名なモデルとペアですよ…」
「そうですね♪
綺麗なモデルさんは
オリヴァーにうっとりしていますね
当の本人の顔は死んでいますが♪」
オリヴァー争奪戦は
あの綺麗なモデルさんが勝ち取ったのか…
『………………ぐぁっ、………か………はっ……』
小さな音だけどハッキリと聴こえる
誰かに蹴られて嗚咽している
フィルとすぐに目が合う
先程まで余裕の笑みを浮かべていたが
焦りがみえる
私とフィルとオリヴァーは踊っている
だからこれは、エリオットかホールさん…
「ホールさん、エリオット
大丈夫ですかっ…?」
急いで連絡をとる
『僕は今
テラスで様子をみているだけですよ〜』
…と、いう事は まさか…!
「ホールさん、ホールさん
そちらはどうなっていますか応答してください」
フィルが急いでホールさんに連絡をとるもの
インカムからは何も聴こえない
…さっきインカムから聴こえた嗚咽は
ホールさん…!?
そんな…!
オリヴァーだって失敗した所を見た事無いって…!